株式会社福原精機製作所
当社が開発・生産をおこなっている「丸編機(まるあみき)」。多くの方にとっては聞きなれない機械の名前ですが、実はとても身近な存在です。誰もが1枚は持っているTシャツやポロシャツ。これらの生地(編地)を作る機械こそが、丸編機なのです。丸編機は非常に高い生産性があり、小さな編目の編地を大量に編成することができるので、大量生産されるTシャツやポロシャツ等のカットソー(CUT & SEWN)の生産に最適なマシンです。
当社は輸出が95%ですが、日本で唯一の丸編機メーカーであるため国内シェアはほぼ100%。当社の丸編機は世界各国に輸出され幅広く利用されていますので、あなたもきっとFUKUHARAの丸編機で編まれた製品を持っていることでしょう。
ここではテキスタイルマシンである丸編機について、さらに詳しくご紹介します。
目次
丸編機はテキスタイルマシンです。ではテキスタイル(TEXTILE)とは何か?テキスタイルは衣服やその他の布製品を作る為の生地を指します。世の中には3大テキスタイルがあり、それは織物、不織布、編物(以降ニット)です。そのニットの中には経編(たてあみ)と緯編(よこあみ)があり、緯編は更に横編みと丸編みに分かれます。横編みは横編機という編機で生産され丸編みは丸編機で生産されます。
織物
不織布
ニット(編物)
前述した通り、編機には経編(たてあみ)と緯編(よこあみ)に大別され、緯編は更に横編みと丸編みに分かれます。経編は糸を縦方向に左右に編目を振りながら連続して編んでゆくのに対し、緯編は糸を横方向に連続して編むのが特徴です。
経編と緯編は更に下図の様に分類され当社が製造する編機は円形編機の一種で丸編機と呼称されます。
同じ緯編である丸編機と横編機の違いは生産量、編目の大きさの範囲、編める編組織の複雑さにあります。
基本的に1本の糸を往復運動で編む横編機と、100本前後の糸を同時に回転運動で編む丸編機では、その生産量に圧倒的な差があります。また、生産性が高いので小さな編目でも十分な生産量を得ることが出来る丸編機と、生産性が低い横編機では、編目の大きさの範囲にも大きな違いがあります。
編目の大きさの目安としてゲージという用語を使いますが、これは編機に入っている針の密度を表す用語で、1インチ間(25.4mm)に何本の針が入っているかを表します。横編機が概ね3ゲージ~21ゲージなのに対し当社の丸編機は2ゲージ~60ゲージとなり約3倍のゲージ範囲になります。
生産性やゲージ範囲は丸編機が圧倒的に有利ですが、編める編組織の複雑さでは横編機が圧倒的であり、丸編機では到底編めない非常に複雑な編組織を横編機では編成可能です。従ってファッション性の高いセーターや複雑な編組織が必要なニット製品は横編機でなければ編むことはできません。
衣料
Tシャツ
ポロシャツ
Yシャツ
インナー
スポーツウェア
セーター等
ストレッチジーンズ
ストレッチスーツ
資材
眼鏡拭き
パップ剤の基布
マットレスの表生地
カーシート
上記のように丸編機の編地で作られる製品は多岐にわたり、ご紹介した製品はほんの一例です。近年、織物からニットへのシフトが盛んになっており、例えばジーンズやスーツ、Yシャツといったこれまで織物で作ることが当たり前であった製品がニットで作られるようになっています。資材で言えばマットレスの表地もその一例です。20年以上前はマットレスの表地は100%織物であったのですが、現在は60%以上が丸編みにシフトしたと言われています。マットレス以外でも様々な資材で丸編生地が使用され、また新たな資材としての応用も数多く検討されています。また、他のテキスタイルマシンと比較して機動性と生産性が非常に高い丸編機を使用することで、工場のコンパクト化や省エネ効果が期待できます。そのため、現在世界的に注目されているSDGsへの貢献も果たせるということで、テキスタイルの世界では丸編みへのパラダイムシフトが始まっているとも言われています。今後も丸編機の需要は益々拡大し、THE BEST OF TEXTILE MACHINEとして躍進していくことでしょう。